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彩花

Author:彩花
ごくせん・野ブタではかっこつけてる嫌なヤツだったイメージが、こんなに変わってしまうなんて・・・・・
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かぼちゃの馬車が迎えに来ない現実を受け止め
日々の生活を取り戻し始めました

毎日を過ごしていくということは
なんて 凄い力を持っているのでしょう

あれだけの <夢の出来事>を
なかったことのようにして
普段の生活を続けていける

平凡な日々の連続というものの持つ
鎮火作用の威力は絶大です(笑)



さて
またまた 別の世界でひっそり生きています(笑)

第3話になりました
お暇な方だけ お入りください



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<秋の風のように>  3話



出し巻き かぼちゃコロッケ ひじきの煮物 豆腐ハンバーグ
そして 林檎のうさぎ
彩りよく詰められたお弁当

それは 私のかつてのお気に入りのメニューだった 

そのことが 余計に私をいらつかせる
「みゆから聞いたのね」
点数稼ぎ?
わざとらしい・・・
いかにも気を遣ってるって?

音楽室のゴミ箱の中に
ゆっくり落ちていく出し巻きやハンバーグ

今朝の父の顔が浮かんできた

普段は車で職場に行く父が 今日は電車で行くと言い出し
駅に向かって歩いてる私に 後ろから近付いてきた
「どこか 体の具合が悪いのか?」
「晩飯もときどき食べないようだし
 弁当もあまり食べてないんだってな」

「ダイエットだよ 玲子さんが言ったの?」
「うん まあ いや アイツも心配してるんだろう・・・
お前が何が好きか 随分 気にかけているらしい」

「それが 嫌なのよ」
ほんとは そう言いたいけど
玲子さんが ママのお弁当に似せて作っていることが
気に入らないないなんて 父には言えない

「そうか 大丈夫なんだな」
「友だちが待ってるから 先に行くね」
待ってる友だちなんていないけど
早くひとりになりたかった

パパは 玲子さんの傍に行ってしまったのね
私の隣には 今は 誰もいなくなった





校舎のはじっこにある第2音楽室
ここは 普段使われない
誰も来ない音楽室は みゆと気まずくなってから
一人 お昼を食べる場所になっていた
 

いつものコンビニのたまごサンドも
今日は かばんの中で 
ぺちゃんこにつぶれているにちがいない


雲もない空
すっきりした青空は 今の私にはまぶしすぎた
目を閉じて 窓の枠にもたれる


なんて 時間が経つのが遅いんだろう
神様の時計を 手でぐるぐる回して
時間をはやめられたらいいのに
そうしたら 今すぐ大人になって
ひとりで どこかに行けるんだろうか


机の上の陽だまりに 頬をつけてみる
おひさまの匂いって
どうして こんな甘いんだろう



目を開けたとき
窓際に 人影があった
いつのまにそこにいたの

私がそこにいることに まるで気付かないかのように
窓の外を眺めている金髪の彼
その髪は 窓からさす光にとけて 
風にそよいでいる
おひさまの中にとけていくように見える彼
明るい光の中にいるのに
なんて寂しそうなんだろう

「抱きしめてあげたい」

急に 自分の中に浮かんだ思いに自分自身が驚いた
「私が 彼を・・・どうして?」
馬鹿な考えを打ち消すように
私は 強く頭を振った




始業のチャイムがなると
私に気付くことなく
彼は 音楽室を出て行った



午後の授業は いつもより もっとゆっくり流れていくように思えた
目を閉じて 風を感じる

夏の湿った熱風のような風の名残に
秋の風の匂いがかすかに混じっていた


彼が来て3日目で
授業の後や放課後 彼を取り囲むような
熱狂的な彼のファンは いなくなった

うるさくつきまとう取り巻きは 彼の冷たい視線で遠ざけられたし
彼から 生徒に話しかけることは なかった
何か聞かれても 
「いや・・・」とつっけんどんに 応えるか
または 全く無視して知らん顔のことさえあった

けれども 女の子っていう生き物は 面白い
見た目がよければ なんでもいいらしい

全く 女の子たちに 興味がなさそうな態度に
逆に ひかれる子もあって
静かに彼を見つめる目は ひそかに増えているようでもあった


昨日 彼のバイクに乗ったことなんて 忘れたように
教室でも 彼は私を見ようともしない

「私だって 彼のことなんて気にしてないわ」
「もし 彼が話かけてきたら 
絶対無視してやろうと 昨日から決めていたんだもの」


嫌なやつ
気まぐれ?
誘えば だれでも付いて来るって?
そんなわけないでしょ

昨日?
昨日は あんまりにも突然だったからよ
なんていうか
そう ふいをつかれた
それだけ

「私がいつでも ついて行くなんて思わないで」

平然と明日の連絡を告げている彼を見ていると
イライラしてきた


校門を駆け抜けるように出て
いつもの倍の速さで 歩いた

昨日飲めなかったお気に入りのコーヒーが
少しでも早く飲みたかった




いつもの 喫茶店が見えた

その前で 無言で差し出されるヘルメット
そこには 見覚えのあるバイクが停まっていた


無視して喫茶店に入ろうとする私に 
「乗れよ」と彼の声

「いつでも ついていくなんて 思わないで」
彼は 微かに笑ったように見えた

絶対に 乗らないわ
彼の背中を通り過ぎようとして
急に 昨日の温かい感触を思い出した
「案外 背中 がっしりしてた・・・ 温かかった・・・」
ふっと 隙をつかれたとき
頭に ヘルメットをかぶせられていた
彼の手が頬をかすめた
その温かさに触れたとき
彼の強引さに 負けたふりをしたくなった

「乗れよ」
もう 一度促されて
「乗るわけないでしょ」
強気な一言を言い返したかったけど
黙って 私を見つめている彼の瞳を見てしまうと
何も言えなくなった

静かな湖の水面のような穏やかさ
深く何かを讃えた水底
彼は 優しい目をして 私を見ていた



私を乗せたバイクは 大きな音を立てて 走り始める
「しっかりつかまってろよ」
彼の声に誘われて 背中にゆっくり頬をつけてみる
音楽室のひだまりの匂いがした



バイクは ラーメン屋の前に停まった
彼は黙って入っていこうとする

「なんで ラーメン?」
「お前 はら減ってるんだろ」


椅子にかけてすぐ
彼が何も注文しないのに 
ラーメンが2つ テーブルに置かれた


昼休みの音楽室
彼は いつからそこに居たのだろう
私に気付かぬ振りで 窓際に立っていた彼
今も そ知らぬ顔で 私の前に座っている


「食べろよ」
彼はそう言って食べ始める

「お前さぁ 何笑ってるんだ?」
食べずに彼を見ている私に
彼は 怪訝そうに尋ねた

「ねぇ 猫舌なの?」
「猫舌?」
「だって さっきから ラーメン フルフルさせてるよ
冷ましながら 食べてるんでしょ」
「小田切先生 可愛い・・・」
いつも澄ましている彼に 意地悪が言ってみたくなった

「はぁ? 可愛い? 俺 そんなことしてねぇから」
彼は凄く嫌そうな顔をした
「早く食えよ」


ひと口食べると
目の前のラーメンの丼の縁が ゆがみ始めた
そして 滲んで見えなくなった


「お前 泣いてんの?」
彼は 静かにポケットから白いハンカチをとりだした
「そんなわけないじゃん」
そう言いながら 
次から次から涙が溢れるのを止められなかった


そのひと口は
ママと最後に食べたラーメンの味を思い出させた

「ママ 何が食べたい?」
最後に退院して家に帰ったとき
ママが食べに行きたいと選んだのは ラーメンだった
「ねぇ もっとご馳走にしようよ
私 お寿司がいい それか イタリアンは?」
ママに 栄養をつけてもらいたかった
特別美味しいものを食べてもらいたかった

「あのね パパが最初におごってくれたのが ラーメンだったの
学生時代のパパ いつもお金がなかったのよ
でも あのラーメン 美味しかった」
ママは 懐かしい目をした
そのときの ママの嬉しそうな顔を忘れない



ママが死んだそのときも
お葬式の最中も 
私は けっして泣かなかった

そして 玲子さんがうちに来た日も・・・
みゆと笑えなくなったあの日も・・・


ほんとうは ずっと 泣きたかったはずなのに
涙は出なかった


なのに
どうして 彼の前で
私は 涙を流しているのだろう

ずっと流れる場所を探してした涙は
やっとその場所をみつけたかのように
ただ 流れ続けた



彼は 私を無視して 食べ続けている
そして もう冷めて 熱くない麺を
大げさに 箸で振るわせ始めた


「ほら やっぱり ふるふるしてる」
「してねぇから」
そう言いながら さらに大きく箸を振るわせる
私も 彼を真似して
思いっきり麺を震わせて 食べ始めた

お客さんは 他にはなく
店の中は 2人が ラーメンを食べる音だけがしていた



<つづく>




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タグ : ごくせんⅡ

コメント

ひだまりのにおい・・・

物語よんでると

小田切先生の背中・・・いいなあって。

華奢そうで、
でも案外がっしりしてて
あたたかくて、ひだまりのにおいがしそうですね。

私も一度そんな感触に味わってみたい・・・
すみません・・
物語を読んでたら
ゆきちゃんがうらやましくなっちゃいました。

そんな私のことはさておき・・・

ゆきちゃんの気持ちが
落ち着かなくなるとき
いつも
すう~っと
心のなかにはいってくる
竜せんせいの優しさ・・気持ちが
いいです・・・

ふたりがこれからどうなっていくのか
つづき・・楽しみです。

あ~やっぱり
竜先生の背中いいなあ~e-266



れおママさんへ

ドリボ真っ最中
なのに 何を書いているのかしら?
そう 思われる方もいらっしゃるだろうに
こんな温かいコメントをいただくと
心も温かくなります

竜先生の背中
ひだまりの匂い
感じてくださって嬉しいです
背中が優しい人が書きたかったの
(表向きは 冷たそうなんだけど
心の中・背中が温かいって いうような・・・)

竜先生は 言葉数が少ないので
感情をどう表現すればいいのか 苦労しています

あくまで竜先生を書く
どうしても 亀梨君の要素が混じってしまいそうで
亀梨君にはならないように気をつけてはいるのですが
難しいです

ゆったり 書いていくので
また 感想をいただければ嬉しいです


こんにちは

気持ちを落ち着かせようと喫茶店に向かったのに そこにはイライラの原因がいた
強引なところは全くなく ぎりぎりのラインでもう一度「乗れよ」
それだけで 泣けてきそう
ラーメンの件
胸が締め付けられました
ふるふるで 緩んで包まれて…

ひと恋の3話が終わった時のように
いよいよ楽しみです

rannrannさんへ

こんにちは
コメントありがとうございます

竜先生 書くのに苦戦しています
とにかく 台詞が少ないので
どう表していいのか

悩むのも楽しみですが(笑)

ひと恋に例えて 楽しみにしていただけるなんて
どうしたらいいでしょう
嬉しさと プレッシャーの間で
震えています(笑)

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