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Author:彩花
ごくせん・野ブタではかっこつけてる嫌なヤツだったイメージが、こんなに変わってしまうなんて・・・・・
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村上春樹の <1Q84>を読みました
面白かったです

BOOK2で終わりだと思っていたら
続きがあるんですね
どんな結末か
最後まで 引きずられそうです



彼の作品は<海辺のカフカ><スプートニクの恋人>など読みました
小説家っていう人の頭の中はどうなっているのでしょう(笑)

とんでもない展開
そして あらゆることに対する雑学
たとえば 音楽 拳銃 
そんなものに対する専門的な知識
目の前で登場人物が動いているかのような描写

プロと比べることがおこがましいけれど
自分の話の続きを書くのが嫌になりました(笑)
素人の慰みものと自覚してはいたけれど
あまりの陳腐さと 表現の貧しさに
改めて気がつきました

知らぬが仏とは よく言ったもので
気付かない方がいいこともありますね(笑)

そうは 言いながら とにかく最後まで
書き続けなくてはと思っています

どうか 軽く読み流してくださるようお願いします




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秋の風のように 7話






屋上に上がる階段
何年か前に そこは鍵をかけられることになった
どこかの学校の屋上から落ちた生徒がいて
学校の管理責任はどうなっているのかと世間が騒いだからだ
上がれなくなった階段の一番上の段は
ちょうど ひとりが座れるスペースになっていて
小さな窓から 外が見える

みゆと気まずくなってすぐ
第2音楽室が 私の昼休みの居場所になる前は
ここで ひとり 外を見ていた

また 前の場所に 戻るだけ

窓の外は 激しく雨が降っていて
窓ガラスに 勢いよく 雨の粒がぶつかって流れていった

頭に浮かぶ もやもや
出張に出かける前の父の顔
夕べ 私の部屋で 
「お父さんを分かってあげて」と
私を見つめた玲子さんの顔

そんなものを この雨が流してくれればいい

でも 一番流してほしいのは
第2音楽室の窓から 外を眺めていたあの横顔
そして 「お前 可愛くないな」と
冷たく思える言葉とは反対に 笑ったあの顔だった

彼に 彼女がいた
ただ それだけのことなのに
なぜ 私は こんなに心が苦しいのだろう

彼は私に何かの約束をしたわけでもないし
それらしい言葉さえ 口にはしていない

私が勝手に 彼のバイクの後ろを自分の席だと勘違いしただけ
彼の背中の温かさが心地良くて
もっともっとそこにいたくなっただけ

頭では分かっているはずなのに
裏切られたような寂しさが 
心の真ん中に錘のように沈んでいる

雨はどんどん激しくなって 雨は窓に叩きつけられ流れていく
なのに
私の頭の中の彼の顔は ちっとも 流れ去ってくれない
「もっともっと 雨が強くなればいい」


そのとき 下から誰かが上ってくる気配がした
ここは 誰も知らないはず

なんで ここが分かったの?

彼が 差し出したのは
いつも私がコンビニで買う卵サンドだった
「煙草が切れてたから ついでに買った」
ぼそっと言う彼の声が優しすぎる
今は その優しさが 憎らしい
なんで 優しくするの?
もう 放っておいて

彼の優しさを壊してしまわなくては
衝動が 私を動かした

「食べたくない」
私が強く手を払ったとたん 
サンドイッチは床に落ちて
三角形の頂点がぐしゃっとつぶれた
 
私は はっとして 彼の顔を見た
彼の髪は濡れていて 
その間から 覗いた目が 私を見ていた


「山崎と何かあったのか?」
彼の瞳は 私をまっすぐ捉えて
ほんとうに心配してくれているのが 伝わってくる
ああは言っていたけど
雨の中 わざわざ買ってきてくれたに違いない
髪から落ちる雨がシャツを濡らしていた

「ありがとう」
その言葉は 私の口の中で完全に固まっていて
外に出てこない
それどころか 彼の優しさを 徹底的に排除してしまいたかった
そうしないと 
そうしないと
私は また その優しさに寄りかかりたくなる

私は 彼をにらんだ
「なんで 私をバイクになんか乗せたの?
 彼女を乗せればいいじゃない
彼女と喧嘩でもした?
 その間の気まぐれの暇つぶし?
そんなのごめんだわ」

彼は驚いた目をした
「沙耶のこと聞いたのか?」

馬鹿!!!
彼女の名前なんか今聞きたくなかった
「もう 私になんて 構わないで
 沙耶さんのことだけ 考えてればいいのよ」

彼は黙って私を見ている
彼の目の中に 何かが走った
彼の瞳の中の湖面に 大きな波が立つのが分かった
しかし それは一瞬で 元の静けさに戻っていた



彼は 静かに
そのまま 階段を降りていった




喫茶店の窓に当たる雨は
すっかり 小ぶりになっていた
小さな雨粒が 窓ガラスにくっついていて
1つ1つが 光っていた

初めて 彼の感情の波を見た

彼の瞳の静かな光
一瞬 大きく揺れた
あれは なんだったのだろう

へーゼルナッツの甘い香りが
少しずつ 気持ちを落ち着かせていた

普段は そっけない彼
でも その裏側にある優しさを知ってしまったの
それは私だけに向けられたものだと思いたかった

彼に感情をぶつけるのは 間違っている
それを知りながらも
駄々っ子のようにわめいて甘えてたかった

「放っておいて」
そう言いながら 
自分から 離れていくことができず
彼の優しさを壊してしまうことで
彼の方から離れていってくれるのを待つしかできない

優しさのかけらが 少しでも残っていたら
やっぱり 私はそのかけらを拾い集めたくなる
そして そこに温かさを求めたくなるだろう

あれで よかった
彼は 私を嫌になるだろう

それで よかった

気がつくと コーヒーは冷めていて 
私の心も 同じように冷たくなっていた

温かさを知らないときは 
冷たさにも気付かなかったのに
一旦 温かさを知ってしまうと
寒さは より冷たく感じてしまう
今は その感覚に慣れるしかない
時間はかかるだろうけれど 不可能なことではないはずだ

カップの中の茶色の液体は
冷えきっていて 甘い香りもなくなり
さっきまでとは 全く違うものになっていた







「おい やっぱり 本場の明太子は上手いぞ
 食べてみろ」
家に帰ると 上機嫌な父が
ビールを飲みながら 夕食を食べていた
「お帰りなさい 遅かったわね
 今 食べ始めたところよ」
昨日のことなど忘れたように
普段どおりの顔で玲子さんは 父にビールをついでいた

「今日はいいわ みゆんちでご飯食べてきたの」
二人とも嘘に気がつかない
私は 二人から逃げるように2階に上がった

また 雨が強くなってきた
雨の音を聞きながら ベッドの上で私は天井を眺めている
机の上の角のつぶれたサンドイッチ
包みのセロハンを破いて
つぶれた角に触れた



濡れた髪から私を見ていた瞳
彼の目は 怒っていなかった
むしろ 怒りの方がよかった
こんなときの優しさは
私を混乱させ 迷わせる

サンドイッチを口に中に押し込んで
食べ始めた
すべてを消してしまいたい
咀嚼することで
彼への思いも 胃の中で消化され
消えてなくなってしまえとでもいうかのように
私は 丁寧に噛み砕こうとしていた
食べることに集中して 彼の顔は思い出さないようにした

胃の中で彼の思いは
身体にゆっくり沁みてきて
温かさを感じさせる

私はゆっくりお腹の辺りを撫でてみた



温かさに 甘えてしまいたい
そんな誘惑を振り切って
私は 外の雨を見る
冷たい窓に顔をし当てて わざと冷たさを感じようとする

温かさが 辛く感じることがあるなんて
今まで 知らなかった



優しさが ときには 人を苦しめる

ゆっくり 目を閉じて
感情を押し殺そうとした

母が亡くなったときもそうしたし
玲子さんが家にやってきたときも
そうできた

大丈夫
心を空っぽにする訓練はできているはずだから
「大丈夫」
そう呟きながら
雨の音だけに気分を集中させていった
雨は 私の心の中にも降ってきた
そして その冷たさが感情を痺れさせていった



次の朝
雨は すっかり上がっていた



月曜の朝は
一週間の始まりだ
こんなときに 陳腐な言葉が支えになる

すべてを元に戻そう
彼がここに来る前の私に 戻ろう
たった 一週間前のことだもの
そんなこと 簡単にできるはず

2日間の休みの間 何回 そう心で唱えたことだろう
「簡単なことよ 元に戻るだけだもの」
 
できるだけ 彼を見ないようにした
彼がいないと思い込めばいい
それは とてもいいアイディアのように思えた
そして なんとか 上手くいっていた
途中までは


2時間目の彼の授業が終ると
何人かが集まってひそひそ話し始めた
「なんか 今日 竜先生 変じゃない?」
ひとりの女生徒の声が耳に入ってしまった
「そう言えば 
 黒板の数式も何度も書き間違えて
 なんか 心ここに在らずって感じ」
「彼女となんかあったのかなぁ」

どうして 耳の穴は 開いたままに作られたのだろう
ON OFF できればいい
聞きたいことだけを選んで 
聞きたくないことは 勝手に消去される
そんなスイッチがあればいい

「竜先生」
誰かが その言葉を口したとたん
私の目はもう彼を見ていた

彼を見ない
頭で考えたことを 心は一瞬で覆すことができる
「竜先生」
この言葉を 聞き逃すことはできなかった
私のセンサーは 小さな声であればあるほど反応するようだった

彼の顔はいつもの倍は白く
目は 人形の目のように 何も見ていない気がした

普段 感情を見せない彼だけど
いつもの彼は
外観の冷たさの中に 温かさがある
普段は外には現れないように
ときには 鋭い視線でカモフラージュされてはいるけれど

今日の彼は それとは違う
感情を凍らせたい
全身が そう伝えていた

彼に何があったんだろう

沙耶さん?
彼女と何かがあった?
彼女に会わなくては

彼のことを忘れよう 
心から追い出そう
2日がかりで決心したはずなのに
今の私の気持ちは
全く逆方向へ向かって流れていくのだった


    <つづく>
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コメント

拍手コメをくださったSさんへ

拍手 ありがとうございます
<サガン>
私の物語で サガンを思い出して下さるなんて
光栄に過ぎます(笑)
私も<悲しみにこんにちは>を読みました
主人公の少女の繊細さからくる残酷にさえなりうる
曲がった愛
切なかったです
柚樹の <歪んだ愛>でしか表現できない
屈折したところが共通点かな?

こんなコメントをいただけて幸せです
自分の発想と表現の乏しさに気持ちが萎えてしまいそうなときがありますが
励ましの言葉を胸に
最後まで 気持ちを奮い立たせながら書いていきます(笑)
ありがとう

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