fc2ブログ

プロフィール

彩花

Author:彩花
ごくせん・野ブタではかっこつけてる嫌なヤツだったイメージが、こんなに変わってしまうなんて・・・・・
人生 何が起こるかわからない
お友だちになってくださる方、募集中です


最近の記事


最近のコメント


最近のトラックバック


月別アーカイブ


カテゴリー


FC2カウンター


メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:


QRコード

QR
    携帯からはこちら★

カレンダー

08 | 2023/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

神戸をお散歩した彼


神戸 
私も大好きな場所です

横浜 神戸 小樽 長崎
異国の香り
なぜか 吹く風の匂いが他の場所とは違う気がする

学生の頃
何の確証もなしに
「結婚したら 神戸に住むの」と断言していた私
残念ながら その言葉はただの願望で終ってしまいました(笑)

あまりにも 私が「神戸って素敵!」と言い続けるので
下の娘が 進学を期に
神戸で独り暮らしをすることになりました


無理すれば 家から通えない場所ではないけれど
親から離れて暮らしてみたい
私には許されなかったこと
叶えてやりたいと思って 
経済的には かなり苦しい選択をしました

でも
これで また 頻繁に神戸に行く口実ができた
うふふふふ
転んでも ただでは 起きないわ(笑)
↑なんか 使い方違うと思うけど

うふふ
これからは 神戸の街を歩いていても 
今までとは 違う気持ちで歩ける

彼が気に入った場所に立っている自分
彼が歩いたかもしれない
そう思うだけで うきうきできるなんて 
なんて お手軽なのかしら(笑)


(長崎は行ったことがないので いつか訪れてみたい
来年 福岡コンサートに参戦して
そちらまでまわってくるというのはどうかな?
彼を口実に 新しいことするのが 楽しいの)




さて お話は 9話になります

よく ここまで<ベタ>な内容が書けるなぁと
書きながら 自分で呆れています(笑)
さらっと 読んでやってください




ジャニーズブログランキング

・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・



秋の風のように    9話



私は 彼女と向かい合っていた
こじんまりしたカフェで

ジャズのようなピアノの曲が静かに流れていた



「ねぇ 時間ある? 少し話さない?」
家の前で そう尋ねられたとき
彼女が さっき私に告げた言葉の意味の解読に
時間がかかっていた私は
ただうなずいていた
確かに 私には時間が必要だった



「カプチーノで いいかしら?
ここのは とても美味しいの」
彼女は 立ったままの私を座らせて言った
「私の名前は 恵那
あなたのお名前も聞いていいかしら?」
「柚樹・・・  です」

まだ 頭の中が混乱してる私を
彼女は優しい目で見て 運ばれてきた飲み物を私に勧める
「柚樹ちゃん あなた 顔が真っ白よ
さあ 一口飲んで」

私 氷ついていたみたい
思考がストップしたままだった
口に含んだ優しい甘さと温かさが 私を少し溶かしていった

そして 私は彼女の顔を正面から見ることができた
「沙耶は 3年前に交通事故で亡くなったの」
彼女は 家の前で告げた言葉をもう一度繰り返した

沙耶さんが 亡くなっていた

失われた何かをみつめているような彼の表情は
そこから来ていたものだったのだ

血が滲むことはなくなっても
けっして消えることはない
傷の跡を優しく撫でているような
穏やかな悲しみ

彼は その傷跡をいとおしんでいた


悲しみは 静かなほど より深いところに存在する
音楽室での彼の表情は 私にそう教えていた






「なら 今日の彼は?」

公園のブランコに座っていた彼は
いままでの彼とは全く違っていた


沙耶さんを失った彼の悲しみ
けっして 消えてしまうことはないだろうけれども
時間の流れの中で
ゆっくりと積もり 居場所を見つけてそこにとどまっていた

彼はその感情を 
大事そうに抱えていたのだった
そして 微笑んでいた 静かに・・・


やっと居場所を見つけたそれを
静かに沈殿していたそれを
何かが 混ぜ返したのだ
 


教室での彼のあの白すぎる顔
公園でのどこを見ているか定まらないあの視線は
そのことを 物語っていた



「亡くなったのは 3年前でしょ?
会ったときから 竜先生は確かに 淋しそうだった
何かを抱えていることは分かっていた
でも 癒え始めていたはずなの
だって もう 過ぎたことでしょ
彼は 私に笑顔を向けてくれた
私を優しい温かい目で見ていてくれたの
なのに 今日の竜先生は 変!
昨日までの竜先生と違う
何かがあったはずなの
何が 先生をあんなにしたの」

淋しい笑顔でもいい
彼に笑っていてほしかった
彼を傷つけたものを許せなかった



彼女は 私をまっすぐ見て
少し考えていたが 話し出した

「沙耶が 交通事故に遭ったとき
竜ちゃんと一緒だったの
沙耶は 道の反対側にいた竜ちゃんの方へ走っていこうとして
トラックに跳ねられたの」


「竜ちゃんは自分を責めたわ
俺が沙耶を呼んだからだと
ちゃんと見てなかったからだと」


「そんなの竜先生の所為じゃないわ」

彼らしいと思った・・・
自分の所為にして 苦しんで
だからこそ
彼の責任じゃないって
私が 言わなきゃ
私が 彼を守らなきゃ


「そうね その通りだわ」
恵那さんは うなずいた


<でも・・・ なぜ? 今さら?
事故は 3年前のことでしょ
どうして 今なの?>

どうして 彼は苦しみを新たに背負い直したの?
私のわからないという表情を 恵那さんは読み取って続けた
「昨日は 沙耶の3回忌だったの」
「お焼香をとやってきた竜ちゃんを
父と母は 追い返したの・・・」

「えっ どうして?
まさか ご両親も彼の所為だと思っているの?
3年経っても 先生は許してもらえないの?」


酷すぎる 酷すぎる
私は 叫びだしそうだった
私は彼女を睨み付けることで
泣くことをこらえていた


彼女は 黙って首を振った
「もちろん 彼の所為だなんて思ってはいないわ
ただ 彼に会うのが辛いのだと思う
彼を見ると あのときの事故を思い出してしまう
彼のせいではないと分かっていても
やっぱり 彼を責めてしまう
どうして あのとき 彼は沙耶を呼んだのか
なぜ 走って来たトラックに気がつかなかったのか」

「今さら何を言っても 沙耶が帰ってこない事が分かっていながら
誰かの所為にしてしまわないといられない
そんな自分になるのが怖いんだと思う」

「竜ちゃんを見てしまうと 彼に甘えたくなる
彼に責任を負わせたくなる
そして そんな自分がいやになる・・・」

「柚樹さん 人って愚かなものね
背負いきれない悲しみを 誰かを憎むことに摩り替えたくなるの
苦しみを麻痺させたいの 全く関係のない別のものでね
それが 間違ってるって分かっていても どうしようもないのよ
悲しすぎるわね」

「そんな両親を 私は責めることはできないの
竜ちゃんを傷つけることになったとしても・・・
愛って 醜く形を変えることもあるのよ」

「竜先生を 傷つけてごめんなさいね」
 
彼女は 両親の代わりとでもいうように
静かに頭を下げた


「彼だって 彼だって 辛いのに
ううん 彼の方がずっと辛いのに・・・」

彼女を無くした悲しみの上に 
その悲しみを分け合うことまで 拒否されるなんて

一番そうしたい相手に拒絶されることは
どんなに耐え難いことだろう
手をとって慰めあえたら 楽になれるのに
執着というどろどろした感情はそれを許してはくれない 
3年経った今も 苦しみから解放されることはない
それどころか 彼女の両親の曲がった愛情は
彼を 今さら 悲しみの渦に 再び投げ入れてしまう


公園から去っていったバイクの背中
劈くような轟音が
彼の声にならない叫びとして
私の耳に甦ってきた


やっと固まり始めた瘡蓋(かさぶた)
その下にあった傷は 時間という薬によって癒されて
黒く乾いていたはずなのに
それは無理やり剥がされ そこから 再び血が滲み出していた


そして それは
細い細い糸となって 流れ出した
その流れは 少しずつではあったけれど
止まることなく流れ続け 
いつかは彼を空っぽにしてしまうのではないだろうか


私は そのままカフェから走り出していた



あそこに違いない
私には確信があった

電車とバスを乗り継いで
そこに着いたときは もう暗くなっていた

波が寄せる音が静かにしていた

砂浜に丸くなった小さな人影があった
砂に足をとられながら
私は 走った

彼が海に向かって歩きだしたから

早く彼を摑まえなきゃ
遠いところへ行ってしまう


砂が邪魔をして 彼との距離がちっとも縮まらない


彼はついに海の中へ入っていった
静かにゆっくり 沖に向かって歩く


ザブンザブンという波の音が
さっきの穏やかな音から
物悲しいけれども 激しい音に変わった気がした


波の音に 私の心臓の鼓動が重なり
それは 徐々に大きく速くなっていった




     < 続く >


スポンサーサイト



コメント

彩花さん、頑張っておられますね。面白いです。
続きを楽しみにしています。

神戸好きと言ってくれて、嬉しいですねえ。

そりゃあ、ただでは起きないですよね( ・∀・)
その時は参加させてくださいね(便乗・便乗・笑)

彩花さん
こんにちは
つづきが気になって
気になってます・・・。
私も頭の中で
柚樹ちゃんと同じように
ドキドキしながら
砂浜走ってます。
竜先生のさみしそうな・・・
冷たくなってる背中・・・
少しでも暖めてあげたい気持ちになってます。

おけいこさんへ

お久しぶりです
コメント ありがとうございます

おけいこさん
神戸でしたか?
神戸は ずっと昔から住みたかった街
今回 娘が住むことで夢が叶ったみたい

ただでは 起きないつもりですから
また お付き合いくださいね

つづき 楽しみにしてくださってありがとう
嬉しいです
書きたいことが 上手く表せなくて苦労していますが
頑張ります

れおママさんへ

こんばんは
コメントありがとうございます

竜先生の冷たくなった背中
暖めてあげたくなるなんて 
なんて 優しい言葉でしょう

続き 上手く 繋げていけるか
この物語のテーマ付けをどうするか
悩みながら 書いています

楽しみにしてくださというその言葉が
励みになっています
ありがとうございます

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)


 | BLOG TOP |