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彩花

Author:彩花
ごくせん・野ブタではかっこつけてる嫌なヤツだったイメージが、こんなに変わってしまうなんて・・・・・
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人生は
少しずつ 
秋へと向かう

それでも魂が
触れ合うような
奇跡の恋は
生まれるのだろうか

<秋の森の奇跡> ・・・・ 林真理子・・・


恋は 若い人だけのものなのかしら

いつからか 心の中に芽生えていた思いに応えてくれそうな
小説を見つけました
林真理子さんは ずっと前から好きな小説家さん
anegoの原作も読みました
(ドラマとあまりに違っていて びっくりだったけど)

今回の小説
読んでみて ・・・
残念だけど
私の求めているものではなかった・・・

「ときめきたい」
以前に ブログにも書いたけど
この言葉を不用意に使ったことから
誤解を与えてしまったこともあった
でも
やっぱり ときめきを求める気持ちは
大切にしたい

私の求めているものは
どこにあるのか
難しすぎて 
自分でも答えを出すことはできないけれど

いろんな小説を読んだり
ドラマを観たりするのは
その答えがほしいから?

でも  
そんなに簡単に答えが見つかるものではないって
自分が 一番知ってるはず

それは 物質的なものではなく
とても精神的なものだから・・・


いつか いつか
そんな思いに近づけるお話を書けたらいいな
大人の女のための御伽噺・・・


まだ 今のお話を書き終われずに苦しんでいるのに
こんな思いを持つなんてね(笑)

でも  人生と秋を重ねてみる
大人の恋愛をテーマにしようとする林さんの感性
やっぱり 好きです

私のお話も夏から秋へ移る季節のお話だったのに
いつのまにか もう冬
季節が合わなくなっちゃったな(笑)


では 10話 
ひっそりと お届けしたいです(笑)





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・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・




秋の風のように  10話



「沙耶さんのところに行くつもりなの?
・・・・・行かないで ・・・・・お願い・・・・・」

腰の辺りまで 水に浸かった彼に
私は ぶつかるように飛び掛かって
彼の背中を抱きしめた
それは 冷えきっていて 私を狼狽させた
私は 絶対に離さないというように
大きな背中を 腕いっぱい広げて羽交い絞めにした


彼は 一瞬固まったように立ち尽くしたけれど
やさしく私の手を 上から包んでから
絡めた腕を ゆっくりほどきながら 振り向いた
大きく開いた目が 不思議そうに私を見た

「馬鹿!」
殴りかからんばかりの私の剣幕に反して
静かな彼の声

「凄く綺麗な貝殻があったんだ
取ろうと思って海に入ったら 見失って・・・
・・・・・ ここまで来てた・・・」

拍子抜けするくらい穏やかな顔をしている
大事そうに握った掌の平を開いて
小さな白い貝殻を見せた
「貝殻なんて・・・なんで・・」
彼の手の中の貝殻の輪郭が 少しずつ 滲み始める

「ほんとに 心配したんだから!」
真剣な私の顔を見て 彼の顔がゆっくり笑顔になる

「お前 今日は素直だな」
「バ・・・ヵ・・」
いつもの口調に戻っている彼に安心したら
もう涙は 止まらない


泣き続ける私をゆっくり支えながら
岸に戻り始めた


波が荒くなってきて
まっすぐに歩けない
彼によりかかりながら
一歩一歩 岸に近づく

肩に置かれた彼の手から
ゆっくりぬくもりが伝わってきて
彼がここにいることを実感できた



やっと 岸に着いたけれども
日が暮れた後の冷えた風は 
濡れた身体からどんどん体温を奪っていく



「あそこに行ってみよう」
海岸の端に 小さな小屋のようなものが見えた


それは まわりを板で囲っただけの小屋だった
4畳半くらいの部屋の真ん中には火を焚いた後があって
四方に小さな舟や網が 無造作に置かれていた



彼は濡れていないシャツのポケットからライターを取り出して
燃え残りの炭の上に
辺りにあった新聞に火をつけた
そして
部屋の隅にあった木切れを投げ入れていった

並んで座る私たちの前で
少しずつ火は大きくなった

寒さに震え始めていた身体は
火にかざした掌から ゆっくりと熱が伝わってきて
ようやく話ができるまでになった


 
「どうして ここに?」
彼は 初めて気がついたように 私の顔を覗きこんで尋ねた
「私 沙耶さんの家に行ったの
そして恵那さんに会った・・・」
ここに来るまでのことを簡単に話した


彼は 少し驚いたようだったが 黙ってうなずいた
「沙耶のこと 聞いたんだ?」
私も 黙ってうなずいた



「俺のせいなんだ・・・」
「事故なんだもの 誰のせいでもないわ!」
いきなり大きな声を出した私を彼はさえぎって話を続けた

「あの日 俺 
沙耶に渡すプレゼント
わざとバイクに忘れて 取りに行かせた
沙耶の驚く顔が見たくて・・・」

「『ありがとう』
沙耶は 指輪の入った箱を見つけて
口の形だけでそう言った
そして その箱を大事そうに閉めると
胸の前でしっかり抱きしめて
ほんとうに嬉しそうに笑ったんだ

そして 
いきなり 道路を横切って俺の方に走ってきた
キラキラ輝いた笑顔で
まっすぐに・・・

トラックのブレーキの音がした
俺も 気がつかなかったんだ
トラックがそこまで来ていたなんて

止まったトラックの隣で
沙耶は 静かに目をつぶっていた
どこにも怪我はなかった

ただ 眠ってるみたいだった
静かに微笑んで
大事そうに小さな箱を胸に抱えて 
丸まっていたんだ


<沙耶は きっと目を醒ます>
俺はそう信じていた」
彼は そこまで話すと静かに目を閉じた


恵那さんの話を 思い出した

「彼は とても落ち着いていたわ
救急車が来たときも
病院に着いてからも
沙耶の両親が病室に入って来たときも
ただ 黙って座っていたの

お医者さんが苦しい表情で頭を下げて
ベットの上の沙耶に白い布がかけられ  
両親が泣き叫んだときも
そして お葬式での読経が始まったときも
少しも乱れた様子もなかった


でも
白い花で囲まれた沙耶を入れた箱を 誰かが閉めようとしたとき
彼は 叫んだの
まるで 今 目を醒ましたかのように
「待ってくれ 沙耶は目を醒ますんだ」って
彼は 気が狂ったように 泣き叫び 暴れたわ

でも 腕を捕まれ
沙耶から 離され
その箱は 蓋をされて 釘を打たれ
車で運ばれていってしまった・・・

そのとき
彼は もう泣いてはいなかった
ただ
感じることを放棄したうつろな目をして
そこに立ったままだったの

彼が沙耶が逝ったことを受けとめるのに
1年かかったわ」




彼は 火に新しい木切れを投げ入れた
火は 一瞬小さく消えそうになったが 
また ちろちろと燃え始めた

彼は 再び 話し始めた

「俺が プレゼントを
取りに行かせたりしなければ・・・

俺は 決めたんだ
沙耶を忘れない 絶対に」

彼の左の薬指の指輪に今さら気付いた
3年経った今も 彼女への気持ちは変わらない
指輪は 私にそう告げていた

彼の顔は淋しそうで 
心に大きな穴が開いているようで
それが 私には 辛かった

私の中に 何かが熱く流れて来て
それは 溢れて 止めることはできなかった


「お焼香すらさせてもらえないんでしょ
ご両親 許してくださらないんでしょ
なのに
どうして いつまでも大切にしなきゃいけないの
そんな人のことなんか
もう 忘れてしまえばいいのよ!」
彼の顔は 一瞬苦しそうに歪んだ

「沙耶のおとうさんも そうおっしゃった
『君の新しい人生を生きてくれ』
『忘れてくれ』と・・・」



恵那さんのカフェでの話が また 思い出された

「郵便受けの花
あれ 毎年 竜ちゃんが ああして挿していくの
シオンって言うのよ
花ことばはね
<あなたをわすれない>
竜ちゃんらしいでしょ

でもね
私は 彼に沙耶のこと忘れてほしいと思ってる

だって 3年だよ
竜ちゃん もう十分苦しんだと思う
だから もう彼を自由にしてあげたい
彼に 幸せになってほしいの
父も母も そう願ってると思う
そして
きっと 沙耶もそう望んでるはず・・・」


沙耶さんの御両親も 彼を心配している
だからこそ
強い態度で 彼を遠ざけたんだ




おとなしく派手ではないけれど
凛とした美しさを保ってまっすぐ茎を立てていた紫の花

その花の前で 背筋をまっすぐにして
静かに頭を下げていた彼の後姿
それは 彼の彼女への誓いだった

いつまでも 忘れない・・・

今 私のとなりに座って
炎を見つめている彼の横顔は
静かで揺るぎのない決意を伝えていた


でもね
竜先生
死んでしまった人は もういないんだよ
一緒に 笑うことはできない
どんなにその思い出が大切でも
それは 終わってしまったこと
もう 先には何もないんだ

だから 今を生きて・・・
未来を見つめて・・・



陶器のように白く滑らかな横顔
半分伏せられた睫毛がかすかに揺れ
薄く形の良いクチビルはすこし曲げられている


悲しさを秘めた穏やかな微笑みは 
流れる涙より 心に深く突き刺さる


彼の心からの笑顔を見ていたい
私の思いは 自然に声になっていた


「私ではダメなの?」




ぱちぱちと音をたて大きく立ち上がった炎が 
真正面から私を見た彼の顔を 明々と照らし出していた





   <つづく>


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コメント

こんにちは

死にに海へ入ったんじゃなくて よかった
ずっと表に感情を出さなかった(出せなかった)のに、箱を閉めるときに 狂ったように…
そのタイミングが とてもリアルですね
しばらく竜先生の泣き叫ぶ顔と声が 頭から離れず…
切ない

とてもシリアスな回
その中で バイクに指輪はクスッときました♪
小屋で恵那さんの話が出てくるあたりは、ドラマで見たいです!
この回かなりリピるだろうな

>「ときめき」
1月からは どんなときめきを見せてくれるんでしょうか
今はまだ純粋に楽しみですね!
そのうち必ず 母のような感情が出てきますけど(笑)

彩花さん
涙が目にいっぱい溜まって
途中から文字が見えなくなってきてしまいました
竜先生の心の中はすごく暗くて深くて・・・
私も前回から柚樹ちゃんになってしまってます
私も彼の心からの笑顔・・・
みてみたいです・・・
(ちょっと入り込んでます・・・すみません)



ranrannさん

コメント ありがとう

リアルだと言ってくださって 嬉しいです
今まで 竜の感情が あまり表されていなかったので
今回は 特別な回です
ごくせん2で言えば <9話>というところでしょうか

バイクに指輪
車のトランクに花束 でしたっけ?(笑)
ちょっと リアルな彼を重ねてみました(笑)

1月から 思いっきり<ときめかせて>ほしいですね

れおママさんへ

ありがとう
泣いてくださったのね

柚樹になって読んでくださるなんて
嬉しいです
竜の心の中
後悔や 自責の気持ちでいっぱいなの
私も 竜の心からの笑顔が見たいです

切ないデス。。。

はじめまして。
物語の中の竜先生に惹かれて、ずっと楽しみに読ませていただいていました。
いつも感想もなくすいません。

今回は、、、思わず落涙してしまいました。
竜先生の心情があまりにも切なくて。
大切な人を失う気持ちは、物語であっても辛いものですね。
皆が穏やかな笑顔で日常を過ごせますように。
今後の展開をドキドキしながら待ちたいと思います。

独りよがりの感想ですいません。
てか、ちょっとカタいですよね。
続き、本当に楽しみです☆

ちゃいさんへ

はじめまして
コメント ありがとうございます

>物語の中の竜先生に惹かれて
なんて 嬉しい言葉でしょう

感情を表に表さない竜を描くのに
苦労しています
映像なら 目線などで表せるのでしょうが
私の拙い表現力では 上手くそこが伝えられなくて・・・

涙を流してくださるなんて 感激です
独りよがり カタい なんて とんでもない
まっすぐな気持ちを伝えてくださって
続き 頑張ろうって思えました
ほんとに ありがとうございました

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